Case study
市民の分散避難を促進。オンライン避難訓練でも活用。~Withコロナ時代の防災への挑戦~
泉大津市 さま
近年、日本各地では大規模自然災害が頻発しています。大阪湾に面する泉大津市では、平成 30年台風第21号により住宅損壊や停電などの被害を受け、今後も南海トラフ巨大地震を始めとする地震や津波、洪水、高潮などの自然災害のリスクに晒されています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行により、感染対策が社会的に不可欠となりました。これは、災害時の避難所においても例外ではなく、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保や体調不良者のゾーニングなどの対策が求められています。
Withコロナ時代の災害への備えとして、泉大津市は市民の安心・安全を守るため、避難所の混雑状況を可視化する「VACAN Maps」を導入しました。
導入サービス:VACAN Maps
導入箇所:避難所
インタビュー:泉大津市様
ソーシャルディスタンス確保の観点から、避難者1人当たりに必要なスペースが従来の倍以上の4㎡と国から示されたため、避難所の収容可能人数が大幅に減少。泉大津市でも、避難所の不足が喫緊の課題に。
避難所の不足、避難所内の3密対策という課題から、市民の「分散避難」が不可欠に。
一方、市民目線で考えると、避難所が開設しているか・空いているかどうか確認する手段は「現地へ行く」か「市に訊く」しかなかった。このため、素早く適切に避難先を選択することが難しく、避難の遅れや避難所のたらい回しに繋がるリスクがあった。
頻発する大規模自然災害に対し、地域ぐるみの防災力強化が課題となっている一方で、新型コロナウイルス感染拡大のため、大勢の市民を集めた実地訓練の開催が困難に。感染対策と市民参加を両立させた、新しい防災訓練の形を模索。
泉大津市はVACAN Mapsを導入し、インターネットのマップ上に避難所の位置と混雑状況を表示。避難所における混雑状況の可視化を実現した。
これにより、災害発生時、市民は避難所の開設・混雑状況をスマホやPCで手軽に確認し、スムーズに避難先を選択することが可能に。
高齢者などインターネットを使わない方の場合は同居家族、独居の方の場合は知人や離れて暮らす家族が代わりにVACAN Mapsを確認し、電話で情報を伝えることもできる。
行政側のメリットも。「分散避難」の促進に加え、市民ご自身に確認していただくことで、災害時の問い合わせ対応の負担軽減が期待できる。
操作はボタンを押すだけ。
混雑情報の配信は、混み具合に応じて「空いています」「やや混雑」「混雑」「満」の選択肢から選ぶのみで、ログインから操作完了まで1~2分程度で行える。
防災担当課以外の職員が避難所に配置されても、簡単に操作可能で、職員向け操作説明に多くの時間を割く必要がない点もメリットとして挙げられる。
また、泉大津市では、「備考欄」にも着目。現地の避難所担当者が「食料が不足している。」「停電している。」などと書き込むことで、避難所と災害対策本部の連絡手段として活用できないか検討している。
災害時だけでなく、日頃の啓発活動にも活用可能。泉大津市では、導入1か月後の2021年3月、VACAN Mapsを使った「オンライン訓練」を実施した。
オンライン訓練では、南海トラフ巨大地震が起きたと仮定し、避難所の混み具合を表示。市民には、インターネットからマップにアクセスし、避難所の位置や混雑状況を確認していただいた。「いつでも」「どこでも」「誰でも」アクセス可能なオンラインの特徴を活かすことで、感染リスクのない、新しい形の防災訓練を開催。実地訓練と比べて多くの方に参加いただけたことに加え、職員の準備負担も軽減することができた。
さらに、市と毛布供給に関する災害協定を締結した企業もオンライン訓練に参加。避難所担当職員が備考欄に入力した毛布の不足枚数をもとに、市・企業との間で毛布供給のオペレーションを確認できた。
カテゴリを選択してください