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Case study

利用者の分散投票を促進。期日前投票所の混雑情報をリアルタイムに可視化し、有権者の安全な投票をサポート

東京都板橋区 さま

業種
官公庁
活用場所
投票所

コロナ禍においては、感染拡大防止のために人と人との間に距離を確保する社会的距離(ソーシャルディスタンス)などが求められます。これは投票所でも例外ではなく、距離の確保や密の抑制などが重要になってきます。
そのような情勢を踏まえて、投票所の混雑状況を簡単にスマホなどから確認できるようにし、分散投票をしやすい環境づくりに取り組まれている板橋区様に今回はお話をお聞きしました。

導入サービス:混雑情報配信プラットフォーム「VACAN

導入箇所:板橋区内の期日前投票所

導入前の課題

投票所の混雑情報を配信する適切な手段が見つからず
新型コロナウイルスの感染拡大によって、投票所でも対策が求められるようになった。その一環として、投票所の混雑情報を有権者の方に配信するといった方法が検討されたが、適切な配信手段が見つからなかった。SNSは「有権者にきちんと届くか?」といった部分、区のHPは「情報を見やすく表示点や操作性」といった部分に課題があった。

リアルタイムの混雑情報を配信する手間が大きい
HPを活用して情報配信を検討していたが、HP自体が「情報を高頻度に更新すること」を目的に作っていなかったため、リアルタイムの情報を配信するには更新作業のプロセス整備や更新作業自体に多大な労力がかかることがわかった。期日前投票所を中心に混雑状況は1時間単位で大きく異なってくるため、リアルタイムの情報が重要だが既存の方法では実現が困難だった。

・情報の見やすさなどに課題
HPではテキストベースの情報になりやすく、投票所以外の情報も載っているため見やすさに課題があった。またSNSなども情報が基本的に流れていってしまうことに加え、多くの人に届けるという点で課題があった。

導入の決め手

混雑情報を配信する際の手軽さ
IoTボタンと呼ばれる専用デバイスを用いることで、「満」「やや混雑」「空」(※)と混雑状況の書かれたボタンを押すだけで、簡単に混雑情報を配信できる点。事前の入念な講習をせずに説明書を読むだけで操作ができるため、投票所の運営との親和性が高い。またIoTボタンはコンセントに挿すだけで使えるため、事前の準備がほとんど必要ないのも大きな魅力。

※板橋区では満と空のみを活用する方法で利用。

・リーズナブルな導入コスト
選挙の特性上一時的な利用かつ準備期間が短期間のことが多いが、VACANを使うことでスピーディーにかつコストを抑えつつ、ユーザーにとって便利な情報を提供できる点。

・情報のリアルタイム性
IoTボタンを押すとその情報がすぐに情報配信ページに反映されるため、利用者はリアルタイムの情報を知ることができる。

・利用者が見やすい表示画面
混雑情報が文字情報だけでなくアイコンを通して直感的にわかるようになっているため、どの程度混んでいるのかが分かりやすい。また地図上で投票所の場所も確認できるようになっているため、投票できる場所を選べる期日前投票などの際に有権者が行きやすい投票所を選びやすくなり、投票率の向上などが期待できる。

導入後のメリット、効果

投票所の分散利用に効果
期日前投票所の投票者数は導入前に比べて大きな変化はなかったが、これまで空いていたいくつかの投票所の投票人数が増えたことで、混雑していた投票所の混雑が緩和された。混雑を可視化したことで、分散投票への寄与に期待が持てる結果となった。

・混雑情報を多くの方が確認
情報配信サイトへアクセスするための二次元コードを自治体の広報紙へ掲載したり、投票券に同封したりしたことで、選挙期間中に10,000以上の閲覧があった。多くの方に投票所の混雑状況を確認いただき、分散投票を推進する要素の1つになったと期待できる。

投票所におけるコロナ対策の拡充
店頭ではなくオンライン上で順番待ちができるようになったことで、待ちながら買い物をしたり、施設内を歩き回っマップや視覚的に分かりやすいアイコンを用いて、投票所の混雑状況をリアルタイムかつ分かりやすく発信するシステムをスピーディーに導入できたことで、消毒や換気だけでないITを使った利便性向上を実現。

導入インタビュー

ー 導入の経緯を教えて下さい。

新型コロナウイルスの流行により、感染拡大防止のために人と人との間に距離を確保する社会的距離(ソーシャルディスタンス)や消毒、換気などが求められるようになりました。これは投票所でも例外ではなく、板橋区でもマスク着用の徹底や消毒液の設置、定期的な換気などの対策をおこないました。

一方で投票所数が当日投票時に比べ少なく密になりやすい期日前投票などでは、人が集中することを避けた分散投票の実現が重要になりますが、有効な手段がなかなか見つからない状況でした。さらに総務省からもコロナ禍で選挙を実施する際は「投票所などの混雑情報の積極的な提供を求める」といった通達が出されました。

こうした状況を踏まえて、投票所の混雑状況を可視化する方法を探していたところVACANを見つけたわけです。

ー SNSやHPなどを使った方法は検討されましたか?

最初は区のHPを活用して投票所の混雑状況の配信を検討しましたが、実現する上で2つの課題がありました。

1つ目は、情報を更新する手間です。投票所の混雑状況にはピークの時間があり、時間帯によって急激に混むといったことがあるため1時間毎に情報を更新するといった方法では情報の正確性が担保できませんでした。また、混雑状況が正確でないということは分散利用を促す効果も期待できません。つまり極力リアルタイムの情報を配信することが重要なのです。

しかし区のHPはリアルタイムに情報を更新することを考えたものではないため、高頻度に情報のアップデートを行うには手間がかかったり、操作が難しかったりといった課題がありました。また更新作業自体は広聴広報課が中心となって行っていたため、情報の即時反映を行うにはこれまでの分担プロセスや関係する課との調整も必要になってきます。

2つ目は情報の見やすさです。区のHPは投票所の混雑情報を配信するために作られたわけではないため、選挙以外の情報も多く掲載されています。また表示形式もテキストでの記載がメインとなり、情報の見やすさに課題がありました。

またSNSを使う場合も、情報が流れてしまったり選挙以外の情報に埋もれてしまったりすることが考えられます。

ー 導入の決め手を教えて下さい。

最も決め手になったのは、導入のコストの低さです。

投票所の運営では期間中だけ従事する方や、1日だけ勤務する方がほとんどです。そのため、事前に研修が必要だったり操作が難しく使う人を選んだりするサービスの導入は難しい。一方で、VACANはIoTボタンと呼ばれるボタン型のデバイスをコンセントに挿し、そこに書かれた混雑度を表す3つのボタンを押すだけで混雑状況を配信できます。

今回の利用でも大掛かりな事前研修は必要なく、当日も使い方に手間取ったという声は聞かれませんでした。またコンセントに挿すだけで使えるので、カメラやセンサーの設置といった事前準備も必要なくスピーディーに導入できました。

もう1つのポイントは、「見やすさ」です。投票所の混雑状況がアイコンの色や形からひと目で分かるようになっているので、年齢問わず直感的に理解しやすくなっています。また混雑状況だけでなく投票所の場所も地図上でみることができるため、会場に行く際のサポートにもなります。

様々な方が利用される投票所だからこそ、見やすさは重要だと考えています。

ー 導入後の効果はいかがでしたか?

多くの方に利用していただけるように、混雑状況の確認用2次元コードを投票券と同封してお配りしたところ、期間中だけで10,000以上のアクセスがありました。多くの有権者の方に見ていただけたと感じています。

ダウンロードや会員登録を必要とするアプリサービスに比べて、VACANはリンクにアクセスするだけで混雑状況をすぐに見ることができます。また2次元コードにすることで、前述した投票券との同封だけでなく、広報紙などにも簡単に掲載・告知ができます。この手軽さは大変ありがたかったです。

分散投票についても期待が持てる結果となりました。これまで混雑していた期日前投票所の混雑が緩和し、他の投票所の投票数がその分増えるといった変化が起きました。混雑を可視化したことも、この効果の一因ではないかと考えています。