Case study
お客様ファーストを体現する、VACANの混雑データを活用した旅館経営の実現
ふたりの湯宿 湯花満開 さま
予約不要の6つの貸切温泉を特徴の1つにもつ「伊豆熱川温泉 ふたりの湯宿 湯花満開」様。VACANを導入し、6つのお風呂のリアルタイムの混雑情報をスマートフォンに配信する同旅館に、その成果と導入後の変化について聞いた。
ー「伊豆熱川温泉 ふたりの湯宿 湯花満開」様はお風呂に特徴があると伺いました。
私たちの宿は6つある貸切風呂を特徴の1つとしており、ご宿泊いただいたお客様がいつでも好きなタイミングでご利用いただける仕組みにこだわってきました。お客様に最大限自由な時間を過ごして欲しいとの想いで、創業当初から予約方式は採用していません。
ーどのようにVACANを活用されていますか。
6つある貸切風呂のリアルタイムな混雑情報をスマートフォンから見られるようにしています。お風呂を見にいかずともお部屋で空いているかが分かるので、好きなタイミングでお風呂に入りやすいとのお声もいただいています。
ーVACANはどのようにして見つけたのですか。
当館は団体の受け入れもなく、大浴場もバイキング形式の食事もないので、感染症が騒ぎになっても、最初はそこまで大きな対策をせずに営業できていました。しかし3〜4月に入って政府から休業要請が出て一気に状況は変わりました。
そういった情勢を踏まえて、当館でもなるべく人と人の接触機会を減らしたいと考え始めたのがVACANを見つけたきっかけです。世論で「密の回避」が大きく取り上げられることも増えてきて、私たちも対策をしないとダメだよねと。
感染症対策をしてお客様に安心して過ごしてもらいたい一方で、規則でがんじがらめにして不快な思いもして欲しくはない。営業を続けるにあたって、どこまで対策をして、どこまでお客様の自由を維持するか、このバランスに悩みました。
密を回避する方法を探すにしても、今まで考えたことがなかったのでまずはネットを中心に情報取集を始めました。その中で、VACANさんに出会いました。センサーなどを使って混雑を可視化し、部屋から見られるようにする取り組みは興味深かったので、さっそく問い合わせました
ー最初からVACAN導入に対して前向きに考えられていたのですか。
興味はありましたが、問い合わせをした段階では正直「話を聞いてみよう」程度の温度感でした。
私たちの宿はお風呂の全てが貸切風呂です。たまたま、同時期に熱海の古屋旅館さんが大浴場に導入したと伺ったので、以前から内田社長にはお世話になっていることもあり、素直にVACANのシステムについて伺ってみました。システムとしての評判は良かったのですが、当館では古屋旅館さんと異なり人数をカウントする方式ではなく、人が入っているかどうかだけが分かればよいのです。そのため、私たちのニーズとVACANの性能・機能がマッチしているかは、この段階では確信が持てませんでした。
ーそれで、今回はドアの開閉を検知するタイプを導入されたのですね。
正直にVACANの担当者の方にオーバースペックなのではと不安に感じていると伝えたところ、ドアの開閉を検知しトイレなどの混雑検知をするセンサーを代わりに使う方式を提案いただけて。環境や使う状況に合わせて、柔軟に機器の選定や混雑可視化の方法を提案いただけたので安心できました。
そこからすぐに現地調査をしていただき、必要な設備や利用画面を見せていただき、これは役に立つと確信し導入を決めました。
ー何がVACAN導入の決め手になったのですか。
1つ目は導入までの対応の仕方です。問い合わせてから具体的なプランの策定、導入計画の決定まで数週間しかかかりませんでした。現地調査、設置作業もすぐにきていただけましたし、手間もほとんどありません。先ほど述べた、私たちに合わせた柔軟な対応も決め手の1つになりました。
2つ目は、お客様の満足度向上に繋がると確信できたことです。今まで私たちの宿では、お風呂を売りにしていましたが、空いているかは扉の鍵がかかっているか確認しなければ分かりませんでした。そのため、すこし不便だよねとお客様から意見もいただいていました。
しかし、今回の導入により部屋にいながらお風呂の混雑が分かれば、その課題は解決できます。また感染症対策で重要視されている、人との接触による感染リスクも減らせます。
環境変化はあくまで最後の一押しでした。総合的にみてお客様の満足度をあげられ、自分たちの負担もそこまで大きくない。それなら導入しない理由はないと考え、導入を決めました。
ー感染症はきっかけに過ぎないと。
感染症の拡大は、運営方針を見直す大きな転換点ではありました。しかし「お客様が快適な時間を過ごせるか」が私たちにとって最も大切であることは変わりません。そして「お風呂にいってみないと空きがわからない」点は、以前からお客様にとって改善して欲しい点の1つだったので、サービスを導入したわけです。
長年の課題を解決により、長期的なお客様の満足度向上に繋がる施策と考えると、十分投資に値します。
ーVACANを導入するにあたり懸念点はありましたか。
1番の懸念点は、「どんな世代のお客様でも利用してくれるか」でした。今回のシステムは、QRコードを読めば誰でも混雑情報が見られるシンプルなものです。しかし、QRコードを読み込めるのか、わざわざスマホでQRを読み込んで使ってもらえるのかなどは心配していました。
しかし、実際に導入してみると予想外に皆さんスムーズに使われるんです。というのも、LINEなどの友達申請に使ったり、昨年からQRコード決済のサービスが本格的に広まったりしたことで、QRコードに抵抗がない方が多いです。またGo To トラベルの地域共通クーポンもQRコードを使っているので、幅広い年代の方がQRの読み取りを自然に受け入れていただけるのは、嬉しい誤算でした。
またサービスも宿泊者の方が少なくとも1泊につき4〜5回は見られるなど、しっかり活用されています。その結果、旅行予約サイトのクチコミにも好意的コメントが増えており、マーケティングやブランディングの観点で大きくプラスに働いています。
ー宿泊者の方にVACANを使っていただくために工夫していることはありますか。
チェックインの時に必ず使い方などを説明するA4一枚のご案内(以下、ご案内)を使って説明し、QRコードをその場で一度は読み取ってもらうようにしています。部屋にポップや説明書きを置くだけでは気付かなかったり、難しいと感じ使ってもらえなかったりします。
ご案内を用いた説明だと、手間はそこまでかかりませんし、QRコードの読み込み方もお客様に直接レクチャーできます。仕組みを聞いて、「そんな最先端な仕組みがあったんですか」と喜ばれる方も多いです。笑
またSNSでも積極的にシステムのことを発信するなど、お客様に知っていただく接点を増やすことも意識しています。
ーVACANの運用を開始する上で手間取った部分はありましたか。
ITサービスというと複雑なものもありますが、このサービスは仕組みも使い方もシンプルなので、特に手間取った部分はありませんでした。提供を開始する前に、当館のリピーターの方にお試しで使っていただいて、手順やポイントの検証をしていたのでかなりスムーズに開始できました。
ー今回の導入により新たに取り組みたいことはありますか
混雑情報を業務にも活用してみたいですね。今回導入でお風呂がいつ混んでいるか、感覚的ではなく正確に分かるようになりました。
その結果、朝6〜8時台の利用が多いことが明らかになりました。今まで朝食より前の時間の利用は少ないと考えていましたが、実際は多くのお客様が利用されていたのです。
こういった情報が見えるようになれば、浴室の清掃やお湯の張り替え時間を調整して、朝の時間により気持ちよく入ってもらえるように準備ができますよね。またそれに合わせて人の配置やシフトの最適化もできます。
他にもどのお風呂がよく使われているかも分かるので、それに合わせて内装を改装したり、その成果を定量的に確認できたりもします。混雑情報を通して、今までできていなかったデータを使った経営ができるようになるのです。今後はデータをうまく活かして、よりお客様が快適に過ごせる宿にしていきたいです。
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