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Case study

待ち時間1.5時間以上を「実質10分」へ。箱根ロープウェイが実践する、行列をなくし“回遊と消費”を生み出す次世代の観光運営

小田急箱根 さま

業種
鉄道会社
活用場所
箱根ロープウェイ

観光地や交通機関において、長時間の「待ち行列」は避けられないものとされてきました。しかし、お客様を列に縛り付けることは、観光体験の低下だけでなく、周辺施設での消費機会の損失にも直結します。

日本有数の観光地・箱根の大涌谷駅では、2025年4月に「ちきゅうの谷」がリニューアルオープンしました。これにより来場者数が増え、大涌谷での滞在時間が延び、最大1.5時間の箱根ロープウェイ乗車待ちが発生していました。この課題に対し、小田急箱根様はVACANの整理券システム「Q ticket」を導入。従来の「整列乗車」ではなく、お客様が自由に過ごせる時間を増やす「できるだけ並ばない運営」へと大きく舵を切りました。

1日最大7,000人の人流をいかにコントロールし、インバウンド対応や現場の意識改革を成功させたのか。同社の挑戦とリアルな運用ノウハウをご担当者の三宅様にお伺いしました。

導入前の課題と背景

「ただ並ばせておく」運営からの脱却。奪われていた観光時間

導入前、ゴールデンウィークや秋の行楽シーズン、さらには「ちきゅうの谷」リニューアルオープンなどにおいて、大涌谷駅では最大1.5時間におよぶ乗車待ちが発生していました。

当時の運用は、並んだ順番にご案内する「整列乗車」です。現場の管理視点だけで言えば、列の最後尾を案内するだけで済むため、最も手間の少ない手法でした。しかし、お客様は1時間以上その場に拘束されることになり、大涌谷での散策や買い物を楽しむ時間は失われていました。

「少し語弊があるかもしれませんが、単に『並ばせておけばいい』という事業者側の都合ではなく、お客様視点に立った施策が必要だと考えていました。限られた1日の観光時間を有効に使っていただき、大涌谷での回遊性を高める方法はないかと模索していたのです」(三宅様)

交通インフラとしての安全輸送を前提としつつ、「並ぶだけの時間」を「有意義な観光時間」に変える。その解決策として選ばれたのが、公共・交通分野での柔軟な運用実績を持つ「Q ticket」でした。

17,000人を捌く「リアルな試行錯誤」と柔軟なシステム

システムを導入するだけで現場が回るわけではありません。大涌谷駅では、1日最大約7,000人もの利用者をスムーズに案内するため、「デジタル×アナログ」を組み合わせた運用が行われています。

① 「着いてから知る」を防ぐ、始発駅での事前告知

大涌谷に着いてから整理券制を知ると、「ここからさらに待つのか」とお客様を落胆させてしまいます。そこで、始発駅(早雲山駅・桃源台駅)で名刺サイズの案内カードを直接手渡しで配布。

「発券機はどこですか?」という前向きな問い合わせに変わりました。

② 人流の滞留を防ぐ、発券機のレイアウト変更

当初は改札付近に発券機(5台)を設置していましたが、グループ客が「何時に戻るか」を相談して滞留してしまう事象が発生。すぐさま改札から一番離れた場所に発券機を移動し、専用テントで視認性を高めました。

また、早く来られた方による改札前の混雑を防ぐため、次枠・次々枠のお客様専用の待機場所を設け人流の交差を解消しました。

③ 状況に応じた柔軟な「キャパシティ調整」で輸送力を最大化

当日の混雑状況や、別ルートへの変更等による空車の発生状況を見ながら、Q ticketの管理画面を活用。「20分あたり290人」の設定枠を、現場の判断で「360〜400人」へとリアルタイムに拡張し、無駄のない輸送を実現しています。

「実質10分」の待ち時間へ。インバウンド対応と現場の意識改革

導入効果は、お客様の「時間の使い方」と「現場のマインド」に明確に表れました。

回遊性の向上とインバウンド対応の成功

これまで1時間並んでいたお客様も、発券して指定時間に戻れば、改札通過後およそ10分程度で乗車可能に。生み出された最大約80分の自由時間を使って、ベンチで谷のマルシェ名物の「タニマルマフィン」を食べたり、ちきゅうの谷を散策したりと、回遊性の向上が見られています。

また、バカンにUI改修を依頼し「最初に言語を選択する」画面遷移に変更したことで、欧米を中心とするインバウンド客も迷うことなく自己発券できるようになりました。

「導入してくれてありがとう」——感謝の声が変えた現場の意識

お客様からは「大涌谷で観光ができる。このシステムを入れてくれて本当にありがたい」という感謝の声が届いています。 「以前は『混んでいるのが当たり前』という意識が現場に少なからずありました。しかし今は、『混雑しているからこそ、事業者としてどのようなサービスを提供すべきか』と、お客様視点の接客マインドへと現場が変わってきています」(三宅様)

※画像はAIによって生成されたイメージです。

さらなる「運用の最適化」と業界へのメッセージ

現在は案内担当などを含め約6名体制で運用していますが、今後は現場のノウハウを蓄積し、より少人数で効率的に回せるような人員配置(省人化)の最適化を目指しています。

システムを最大限に活用し、「並ぶだけの時間」を最小限に抑え、「有意義な観光時間」に変える仕組みをさらに定着・洗練させ、お客様の利便性向上に繋げていきたいと考えています。

最後に、同業の観光施設・交通機関の皆様へメッセージをいただきました。

「インバウンドのお客様が多い施設様でも、Q ticketを使った人流コントロールは非常に有効に機能しています。すでに他の事業者様も視察に来られています。私たちもまだ運用を改善している最中ですが、こうした『並ばせない取り組み』が交通・観光業界全体に広がり、お客様にとってさらに使い勝手の良い仕組みへと進化していくことを期待しています」


「並ばせない・取りこぼさない」運営を実現しませんか?

VACANの「Q ticket」は、ただ行列をなくすだけでなく、生み出した時間で周辺施設への回遊(二次消費)を促し、将来的な省人化や優先搭乗(収益化)の基盤となるシステムです。 「インバウンド対応」「柔軟な人数上限の調整」「既存のレイアウトに合わせた運用」など、交通機関や大型観光施設ならではの課題にお応えします。

他社での運用ノウハウや詳しい資料をご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。