2024.10.31

山形県置賜地域における災害時の避難所運営・避難者支援に関する防災DX
避難所受付のデジタル化支援に向けた取り組み

東日本電信電話株式会社山形支店(山形支店長:小澤 一仁、以下「NTT東日本」)と株式会社バカン(代表取締役:河野剛進、以下「バカン」)は、山形県置賜地域(以下「置賜地域」)において、災害時に自治体が運営する避難所受付について、デジタル技術活用による効率化・最適化を目的とした防災訓練での実証実験を行いました。
本実証実験は、2023年5月2日に締結した置賜地域におけるレジリエンス強化推進プロジェクトの一環で行われたものです。

1.背景と目的
 近年激甚化している災害により全国で大きな被害が頻発している状況において、広範囲かつこれまでに経験したことのないような事象により、避難所職員の避難所開設や地域住民の避難所への避難に向かう機会が増えています。
 災害時には避難所運営者が避難所を開設し、地域住民は避難所へ避難するなかで、避難所開設における ”受付” の課題として、「避難所受付に時間を要し入所に時間がかかる」「アナログな集計や報告による避難所担当者への負担」などがあげられます。
 避難所受付をデジタル化する事で、避難者と自治体職員の受付時間の短縮や負担の軽減等の実証実験を実施したものとなります。

2.実証実験の概要
 2024年10月に行われた防災訓練でデジタル技術を活用した訓練(受付)を以下の通り実施しました。

<訓練(受付)の内容・方法>
従来方法による紙受付とデジタル技術を活用したマイナンバーカード受付、スマートフォンアプリ※を使った受付方式にて訓練(受付)を実施。
※バカン開発:自治体向け地域交流推進アプリ「tami tami」

・デジタル避難所受付の入所経路一覧

様々な入所経路でも一つの避難者名簿を作成する事が可能かつ、他避難所状況も把握する事が可能

<避難所受付時間の比較>
従来方法による紙受付とデジタル技術を活用した受付時間を計測し、比較。

<アンケートによるデジタル化の有効性検証>
デジタル技術を活用した訓練(受付)を体験・体感いただいた地域住民や地域関係者から、以下のアンケート回答をいただき更なる効率化を検討。

1.デジタル避難所はスムーズに入所できたと感じたか
2.行政窓口受付けなどの行政サービスにおいて紙での対応が多いと感じるか
3.訓練を体験することで今後マイナンバーカードを携帯しようと感じたか
4.マイナンバーカードでの受付があった方が良いと思うか


◆結果
・受付に要す時間の比較
<米沢市>
・従来での紙受付対応時間※1:52秒/人
・デジタル技術を活用した受付対応時間
∟マイナンバーカード受付:38秒/人(紙受付より14秒/人の短縮)

 <南陽市>
・デジタル技術を活用した受付対応時間※2
∟マイナンバーカード受付:28秒/人

<白鷹町>
・従来での紙受付対応時間※1:39秒/人
∟紙受付を用いたデータベースへの登録※3:2分46秒/人
・デジタル技術を活用した受付対応時間
 ∟マイナンバーカード受付:21秒/人(紙受付より18秒/人の短縮)
 ∟QR受付:事前登録者おらず※4

※1紙受付ではデジタル技術を活用した受付と条件を揃えるため基本4情報のみの記載とした(基本4情報:氏名、住所、性別、生年月日)
※2デジタル技術を活用した受付のみ実施した
※3紙受付とデジタル技術を活用した受付の情報を統合するため用紙からデータベースへ移管する作業時間を計測した※4現地にてダウンロードをサポート
合計時間:9分29秒/人(内訳 事前登録時間:8分58秒、受付時間:31秒)

・職員の稼働負担の削減(避難者情報の集計・報告)
今後、課題・改善点の情報を収集し、対策等を行う予定

・体験を通して感じた意見
今後のシステム改善点に繋げていく

3.実証実験に参加いただいた自治体
2024年10月6日  米沢市
2024年10月20日南陽市
2024年10月27日白鷹町

4.今後の展開
 今回の実証実験により、各自治体の避難所での運営課題に対しての有効性を把握する事で、本格的な展開に向けた検討を進めてまいります。また、これらのデジタル化の取組みを通じて、地域の情報を統合的に管理・分析していくことで、NTT東日本とバカンは、災害時のオペレーション機能等を支援し、『誰一人取り残さない』地域の防災を目指してまいります。

― 米沢市でのデジタル避難所受付 ―

― 南陽市でのデジタル避難所受付 ―

― 白鷹町でのデジタル避難所受付 ―

― スマートフォンを活用したQRコード受付 ―

― マイナンバーカードでの受付方法 ―

― スマートフォンでの受付方法 ―